この世の宗教画−ピカソの青

 何度も写真集で見た“年老いたギターリスト”をようやくシカゴ美術館で観る事ができた。

写真集ではギターの弦が見えなかったので、音の出ないギターを弾いているのだと思っていたが、実際に観ると細くて美しい弦が描かれていて、音が聞こえてくる気がしてきた。


ピカソの作品は時代により作風が大きく変わるが、私は20代の青の時代に描かれた作品が好きだ。

青色からは古写経の紺紙経に見るような瑠璃色の浄土、ジョットなどのイタリア宗教絵画の天国の青など、死を境にした“あの世”のイメージが浮かぶ。

ピカソの沈んだ青色のベールの奥からは、生と死に対する不安、肉体と生命への執着の苦悩が垣間見える。

“この世”を描いた宗教画のようだ。



右はシカゴ美術館の”The Old Guitarist"
左はクリーブランド美術館の”LA VIE"
どちらも1903年の作品

1