まずは香りをひとつ


-戸田浩二作陶展に行われたレクチャーでは、講師中村健太郎氏の香の歴史“のお話の後に、戸田さんの香炉を使用しての“聞香”が行われた。

中村氏持参の伽羅の香木には“唐錦”の銘がついていて、昔の香木の持ち主がこの伽羅の香りを表す歌を選び、添えてある。皆は香を聞きながらその歌を
3つの歌の中から選ぶという趣向である。


現代の香りを表す言葉は、甘い、いい香りなど、表現が平坦である。


香りを歌にたとえるのは風雅で、しかも実に絶妙な表現なので感心する。香を通じて見知らぬ昔の人と香りを共感するとは不思議だ。

手の中で香炉の温かさが心地よい。冬の日に、“お茶を一杯”もいいが“まずは香りをひとつ”と差し出すのも素敵だと思う。


 
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