書のある暮らし 柿沼康二/ カッシーナにて

しばらく旅をして今朝帰国しました。
夕方、青山カッシーナで開催中の「書のある暮らし」のオープニングへ行きました。
祥雲の提携アーティスト・柿沼康二さんの作品がエントランスを飾ります。著名な物故書家の中で、柿沼作品の繊細な筆使いと墨の美しさがミニマムな空間に光を放ちます。あらためて時代の息吹と力を感じました。暫くぶりの販売を兼ねた展示会で楽しみにしている方も多いと思います。1階から3階まで大小の作品が展示されておりますので、この機会に是非お出かけください。
東京・大阪・福岡で開催予定です。

「書」のある暮らし





<主な作家>
・ 井上有一 (前衛書家)
・ 比田井天来 (書家)
・ 西川寧  (書家)
・ 棟方志功 (版画家)
・ 志賀直哉 (作家)
・ 青山杉雨 (書家)
・ 手島右卿 (書家)
・ 柿沼康二( 書家・現代アーティスト)
・ 吉川英治 (作家)
・ 浦上玉堂 (文人画家)


開催店舗:
カッシーナ・イクスシー青山本店 2014年8月26日(火)〜9月28日(日)
カッシーナ・イクスシー福岡店 2014年9月11日(木)〜9月28日(日)
カッシーナ・イクスシー大阪店 2014年10月2日(木)〜10月26日(日)

忘却の河

 レーテー。「忘却」はタナトス(死)とヒュプノス(眠り)の姉妹。冥府の河の名前で、死者はこの水を飲んで現世の記憶を忘れるという。(ギリシャ神話)

 福永武彦とヘルマンヘッセは父の愛読書だ。私はそれぞれ2・3作読んだきりだったが、父はすべてを読み、そのうちのいくつかを何度も読み返していた。

最近「忘却の河」福永武彦著を読んで衝撃を受けた。特攻隊の生き残りの父が、自身の人生と重ね合わせて読んでいたであろう内容だったからだ。

日常においては時折“忘却の河“を彷徨って周囲を驚かせる(苦笑)父だが、最近のニュースを聞きながら昔はほとんど口にしなかった戦時中の話や戦死した仲間について鮮明に語るようになった。

その時に“自分は一度死んだ”と言うのは父の実感であり、この小説に書かれている言葉でもある。

 

“私はもし出来たなら何もかも忘れたいと望んでいる男だ。よく小説の中にあるように、過去の記憶を喪失して必死にそれを探し求めている人間の運命を選びとることができたなら、私は悦んで今のわたしというものを擲ちたい”

―(忘却の河より)

 

多くの戦争経験者が「忘却の河」の水を飲み、自由で平和で豊かな国を夢見たであろう。しかし、わだつみの声に耳を傾けることを、忘れたわけではなかった。

 

私には実感がなく薄っぺらな言葉になってしまう。自分の言葉で表現できなく、この程度の事をここに記すことしかできない歯がゆさを感じる。

父は88歳。ほとんどの戦死者たちの母たちはすでにいない。

実感のある真実の声はもう届かないのだろうか?




 

美とため息

美しいものを観るとなぜ、ため息がでるのでしょうか?
メトロポリタン美術館のExhibition。
アンジェリコ、ラファエル、ダビンチ・・イタリアルネッサンスのDraw
ingのあまりの美しさに・・ふぅ〜。
古に倣いつつも奔放で洗練された王鐸の書に・・・・ふたたび。



アンジェリコ
  アンジェリコ
ダビンチ
ダビンチ

ラファエル
ラファエル

王鐸 王鐸(おうたく)


ジェームス・タレル 和紙と版画


ジェームス・タレルの新しい版画作品SUITE FROM ATEN REIGN
色や質感に「もしかして?」と近づいたら、やはり和紙を用いて浮世絵技法で刷られていました。ジャースパージョーンズの最近の作品にも黒谷和紙が使われていますし、古くはレンブラントも日本から取り寄せて作品に使用していたとか。


ジェームス・タレル Suite from Aten Reign 2014


版画といえば、欧米に比べて日本の歴史は古く、浮世絵以前にも奈良時代の百万塔の中に納められた陀羅尼経をはじめとする仏教版画が作られていました。


陀羅尼経

百万塔 法隆寺伝来 奈良時代


 

 

アーティストレストルーム

ニューヨークからボストンへ車で向かう途中・・ちょっと拝借。
さすが!!名門女子大学スミスカレッジのレストルームはひと味違う。
お願いして男子用も撮影させていただきました。

特にEllen Driscollが手掛けた女子用は海底の中にいるようです。クラゲが泳ぎお宝名画が沈む。





壁も水回りも6か所が全部違う絵です。流すと海底の泡のよう。




男子用はモノトーンでタイルの一枚一枚がそれぞれ水をイメージした物語のワンシーンになっている。床のタイルも美しい




雨上がりの朝 


雨上がりのニューヨークの朝。
黙々と職場へ向かう人たち。わたしも足早にギャラリーへ向かう。
木々の緑が輝いて見える。
アパート近くの細長いスペースのキャサリンヘップバーンガーデン。女優である彼女が生涯花と園芸に愛を注いで活動したことに敬意を表して名付けられた。
NYには他にも街路樹と見間違うような隙間スペースの家庭庭園がある。週末に楽しむ会社員や毎日通っている人など庶民の憩いの場となっているが、最近某大学が市から買い取る話が持ち上がり、多くの人たちが反対している。ささやかな庭園や菜園は都心では贅沢な楽しみなのか?









機内映画館

 機内映画館4本立ては、話題作・コメディ・映画館で見逃したもの、+恋愛もしくはアクションときどき邦画の組み合わせが飽きなくてよい。5本目は上映時間を確認しないと、途中で到着してしまうおそれがある。残りの時間は落語を聞いて笑って過ごす。

まずマシューマコノヒーの激ヤセが話題の「ダラス・バイヤーズ・クラブ」。法・犯罪・正義・差別・良いも悪いも誰もがすべてを含んでいて混沌としたなかに世界の縮図を見る映画だった。美とかストーリーとか迫力よりも存在を優先する映画や俳優が増えると嬉しい。


ケビンクライン・シガニ―ウェーバーで、大統領のそっくりさんの身代わりで・・という「デーヴ」はストーリーも笑いも予想通りというリラックス感。


「鑑定士と顔のない依頼人」は以前から見たかった美術オタクの話でしたが、最後にどんでん返しで、主人公が「どうだっ!オタクを侮るな!」という内容のエンディングにしてほしかった。せっかく洒落た映画なのに・・ラストの退屈さにブツブツ。


美しい絵の崩壊」はピンとこない題名だと思いましたが、「Two Mothers」の原題でこの邦題を考えた人はさすが!

映画を観ていると何が美しい絵で、何が崩壊なのか・・様々な解釈ができる。美しい映像や人物に惑わされそうだが、沈黙のシーンに理屈では語りきれないものを含んでいる・・この邦題で深みに導きたかったのだろう。




クレア 7月号掲載


文芸春秋の女性誌【クレア】7月号
美術ライター橋本麻里さんと考える
「古美術の楽しい使い方」
に祥雲の紹介と縄文土器・須恵器・印仏などがお洒落に掲載されています。

http://crea.bunshun.jp/articles/-/5475
ご覧いただけたらと思います。

「ふ〜ん」の本


夜、寝る前に本を読むと落ち着くのは幼いころからの習慣だからか。

よい眠りにつくためには本選びに注意を払わなくてはならない。

寝る直前の記憶は定着するので語学がよいと聞くが、もう一つ単語を覚えようなどと欲が出て脳が活性化するおそれあり。

推理・恋愛小説は先が気になって寝不足になるし、悲しみや怒り、感動で気分が高揚するものは目がさえてきそうだ。

睡眠用本の選定にはコツがいる。

どの章からでも読むことができてほどほどの長さで完結し、それなりの達成感を感じる。つまり辞書的感覚で「ふ〜ん。なるほど」と読み終えて執着なく眠りにつけるもの。

最近のお気に入りは北山修の「意味としての心」。普段使っている言葉の再認識に「ふ〜ん。たしかに」とその都度納得する。

先日まで横になりながら中国文化史大辞典を読んでいたが、ある日ついウトウトして本に頭を挟まれ目が覚めた。重たい本は要注意(笑)




 


スティーヴン・ストロガッツ「SYNC」

 一気に読む本。時間をかけてじっくりと、もしくは睡眠の前に拾い読みしたい本もある。

それらを何冊か並行して読み進むのが常なので、机や枕元の台にはいつも読み散らかし状態の本が積み重なっている。

最近の一気読みはスティーヴン・ストロガッツ「SYNC」(シンク)。蛍の集団同期については3年前に読んだ蔵本由紀の「新しい自然学―非線形科学の可能性」の中にも書かれていたが、写真集「心像」の蛍の撮影の際に、シンクロ(同期)の様子を初めて自分の目で見て実感した。また、もっと大きな範囲において、人間や自然の同期現象を感じることがあったので興味深かった。現代の“知”に抑圧された日の当たらない場所を明るくする本です。