「山の神仏」と「蓮」 大阪

 大阪で美術館のはしご。

大阪市立美術館「山の神仏」には御正体、狛犬、掛仏、神像・・アノ素晴らしい神仏たちが大集合。工夫されたレイアウトで比較的至近距離で作品を観ることができ、しかも東京や京都のように混んでいないので、ゆったりゆっくりと楽しみました。戦前の建物がエレガントで美しいです。ロビーのシャンデリアの下で音楽を聞いてみたいものです。

公園ではビアガーデンが盛況・・こちらがメインという方が多いようです。寄り道したくなる気持ちを抑えて東洋陶磁美術館へ。

写真家の六田智弘さんの蓮の写真と蓮の意匠の焼き物のコラボレーション。モノクロの蓮池の写真をバックに、白い壺が清楚です。よく見ると蓮の開花や図案化したものだけではなく、巻葉や花びらの外周が反った図など、様々な表情を捉えていて感心しました。




 

アンドレアス・グルスキー

 
“現代の狂気が潜む”

アンドレアス・グルスキーの作品を観た印象だ。

レース場、証券取引所、南極、カミオカンデ・・・ニュースや新聞で見たことがある・・と感じさせるシーン。

ボカシ写真が氾濫する中で、隅々までピントの合った大画面は強烈なインパクト。整列や直線的構図は同期とスピードを感じさせ、表現の手段としてデジタル技術を駆使した作品には、フィルムとデジタルという写真的比較を超えた人工美(アート)がある。

グローバルをテーマ・・というのは、鑑賞者に肉眼ではありえないアングルで世界中の場面、もしくは日常のある部分を客観的視線で“傍観”させ、それらが実は我々にとって無関係ではないということだろうか?

去年の東京展を逃したが、先日大阪で観ることができてよかった。


カミオカンデ 2007

美術館へ古寺巡礼


ほとけさまが西から東、東から西へと旅する時代。

上野の芸大「法隆寺展」奈良国立博物館「武家のみやこ 鎌倉の仏像」そして京都国立博物館「南山城の古寺巡礼」と仏像三昧の日々。

 

ほとけの顔を直接見なかった昔の人の方が、仏の近くにいる・・・たしか白洲正子の著作にこのような意味のことが書かれていた。

“観る”に集中して“礼”がおろそかになりがちだ。

 

「わし、あんたの妹知っとる。浄瑠璃寺にいるやろ」と天部に話しかける男性。「あら、傷だらけ・・あっ!たいへんや。仏さんの悪口いうてしもた。許してぇ」と手を合わせる女性など、観ると拝むの中間感覚の方もいる。

 

「法華経て効くんやろか」「そりゃ、効くやろ」と年配の女性たちの会話に“なにに効くのかなぁ”と思いつつ順路を進むと目の前に笠置寺の誕生仏。

つい・・「かわいい。欲しい!」・・あらあらとんでもないことを・・。(合掌)




石の世界

須弥山の瑠璃のみそらに刻まれし大曼荼羅を仰ぐこの国―『歌稿A

宮沢賢治の文には法華経や無量寿経の影響を感じるものが多い。鉱物は浄土の宝石であり、賢治は自然の事物にそれらを重ねて表現する。


私はいつか美しい瑠璃(ラピス)を手にしたいと、時折近所の鉱石ショップを覗いている。

平安の紺紙金泥経の扉絵のような深い青。もともと鉱物の瑠璃のイメージが仏の世界の色として表現されたのではないか?―賢治もそのように感じたに違いない。

石の話は尽きない。思い出深い水晶に虹の入った古墳の勾玉。

遠くからでも翡翠とわかるような曇りのない琅玕*の勾玉も美しいが、白にほんのり緑が混じっているのも雲みたいで好きだ。

 

つめたい琅玕*の波を踏み冴え冴えとわらひながら

こもごも白い割り木をしょって・・・『詩 発動機船』


*琅玕(ロウカン)は透明度の高い青緑色の翡翠



 



『いけばな』『やきもののアジ』『畳』『和風』以前の器

某女性誌の特集で縄文中期の土器に花を生けることになった。「和風すぎないようにしたい」という編集部のリクエストには現代的な本音が感じられる。ガツンと睨みをきかせた生け花はオシャレではないのだろう。

そこで迷わず黄色いバラを注文。古美術に洋花は意外なようだが、縄文土器は『いけばな』以前のお鍋で何を生けても不思議ともいえる。黄色のバラは明るくて静かな少女のイメージで『アジ』以前の器によく映える。(実は私が初めて古美術品に生けたのは円筒埴輪に黄色いバラだった)グレーの壁前の黒テーブルに縄文土器を置く。モノトーンの空間にモダンな姿。それもそのはず、縄文土器は『畳』が生まれる前につくられた『和風』以前の器なのだ。

 縄文中期の土器

*雑誌は6月発売予定。後日、お知らせします。

 

イタリア映画祭と映画をめぐる美術

 10年来、イタリア映画祭はGWの定番だ。マフィアの殺し屋と盲目の女性の物語『サルヴォ』は極端にセリフの少ない映画だが、音楽や場面の関連性を巧みにつかい、人間の深い情感や潜在的な強さが描かれていて印象深かった。画面や言葉に表されていない部分―たとえば登場人物の生い立ちや過去にあった出来事など・・実際にはないことなのだが、これらの設定が演じる人の中にあることは重要だと思う。

東京国立近代美術館『映画をめぐる美術―マルセルロータスから始める』で映像に静止した画面を探すという項目が興味深かった。映画を観たときのあの場面・・シンディ・シャーマンなら『サルヴォ』のどの場面を選ぶだろうか?などと考えると楽しい。

「サルヴォ」

「映画をめぐる美術」

心像 NY


写真集「心像」Minds Eye 桐谷美香(平凡社刊)がニューヨークで販売されることになりました。
ユニオンスクエアStrand Bookのアートコーナーをはじめ、主なアート関連の専門書店などにならびます。
各店のバイヤーやオーナーの方から直接感想をいただいたのには感動!「本好き」「アート好き」「写真好き」の情熱が伝わってきて嬉しかったです。

国内では丸善、ジュンク書店をはじめ、全国各書店やネットでも取り扱いされています。原宿のお洒落な本屋JStyle Booksのオーナーの方からいち早く感想をいただきました。感謝。

最近はヴィンテージカメラでモノクロ撮影をしています。
今後は花にこだわらず、「継承」をテーマに作品作りをしていきたいと思います。

どうぞ、よろしくお願いいたします。





〈写真集の内容〉

表紙と第1章 太陽礼拝 は早朝の自然光で自宅撮影した蓮の花です。縄文土器や現代陶器に生けました。
2章 根源 は夜中から準備をして、日が昇る前に湘南の海に胸まで浸かりながら生けました。早朝の白い海や、真っ青に変化していく空。
3章 無 は水面に映った椿。第4章 依代 は滝の近くで生けた蓮です。第5章 蛍/継承 は群馬県みなかみ町の協力で蛍と花を撮影しました。第6章 息 は午後の自然光で写しました。




NYアジアウィーク

3月も終わりなのに、真冬のように寒いNY。
例年は早目に渡米し体調を整えてからアジアウィークをむかえていたのですが、今年はスケジュールの都合で間際に到着し、時差ボケと疲れがとれないままMikaGalleryとJADAでのふたつの展示会に突入しました。


MikaGalleryでの柿沼康二さんの書は、21世紀美術館の大きな空間で眺めたのとは違う,
書の中に引き込まれそうな臨場感。
"とまどい”と”感動”の入り混じる顧客の反応は・・予想通りです。
今回をきっかけに新たな企画もはじまり、今後益々楽しみです。



昨年のアジアウィークに展示した戸田浩二さんの焼締水瓶は現在3つの美術館・大学のギャラリーに展示されています。今回はさらに多くの美術館や個人コレクターの方々に広がりました。

また、メトロポリタン美術館近くのJADAの会場では5人の日本美術商で古美術を展示しました。連日盛況でした。

2003年にオープンしたMikaGalleryも、あっという間に11年が過ぎました。
益々!と言うよりは、マイペースでのんびりと・・という感じですが
今回は4人のスタッフと作家2名と私で賑やかに楽しくお仕事ができて、とても幸せでした。








写真集 「心像」



 


写真集 「心像」 桐谷美香 平凡社刊を上梓いたしました。
今回は「古くて美しいもの」や「はな ひと うつわ」(関美香)の執筆とは異なる写真集です。

現代の「継承への祈り」をテーマに2009年から2013年に撮影しました。
「太陽礼拝」「根源」「蛍・継承」「無」「依代」「息」で構成しています。

菊版 カラー96ページ 2800円(税別)
取り扱い先 全国各書店もしくは平凡社(Tel 03-3230-6574 )
http://www.heibonsha.co.jp/book/b165854.html




アジアウィークNY

3月のNYアジアウィークは例年通りJADAメンバーのセバスチャンイザード氏・レイトンロンギ氏・柳孝一氏・エリックトムセン氏と5人でメトロポリタン美術館近くで古美術の展示会を行います。

 JADA 2014: An Exhibition by the Japanese Art Dealers Association
  
March 15, 11 am – 5 pm March 16 – 19, 11 am – 6 pm Ukrainian Institute of America 2 E. 79 St., New York, NY 10075
http://www.jada-ny.org/calendar_jada.html

同時開催でMikaGalleryでは柿沼康二さん(書)と戸田浩二さん(陶芸)の展示を行います。

Mika Gallery
595 Madison Ave, 8th Fl, New York, NY  10022 

ASIA WEEK GALLERY EXHIBITION
Prehistoric to Contemporary Japanese Art March 11 – 20, 10 am – 5 pm daily, including Sunday

NYに来られる方は3月11日から1週間もしくは10日間を予定されるとアジアウィークの各展示をご覧いただけます。


柿沼氏については、1月にお知らせした金沢
21世紀美術館「柿沼康二 書の道“ぱーっ”」が2/9放送NHK-Eテレ「日曜美術館-アートシーン-」で紹介されます

また、雑誌「和楽」の美術展カレンダーの表紙と本文に各1ページ、今月の名作で掲載されておりますので、是非ご覧いただけたらと思います。